LoveS2000’s diary

思いつき、方針などを綴ります。万が一、参考になれば幸いです。

今週末は映画を見ました

S.Kくんへ

お久しぶりです。ようやっと君の書簡に対して返事を書こうと、今腰を上げようとしているところです。

なるほど、一見してお互い黙っているように見えて、当事者からすれば決して他人に聞かれたくは無いラブコールを送りあっている可能性もあるわけですね。そう聞くとなんだか20世紀の方々が思い描いた近未来が現実になってきた気がします。まあ、私なんかは古い考えの持ち主ですから、「口がついているんだから、喋れば良いのに」と、余計なお節介を焼いてしまいそうになります。今度、お互いに携帯をもつカップルを見たときは、余計なことを言わないよう予め私の顔にガムテープでも貼っておきましょう。

それはそれとして、今日はペンギンハイウェイ、グラン・トリノの二本を鑑賞しました。二作とも公開時に友人に進められていたままスルーしてしまった作品です。君はグラン・トリノは見たと言っていたけど、ペンギンハイウェイは見てなかったかな。

ペンギンハイウェイは、人並み外れた努力をする小学4年生「アオヤマくん」と、なぜだかそこいらの物をアデリーペンギンに変えられる「お姉さん」の物語です。お姉さんはアオヤマくんの通う歯医者に勤め、彼の父が迎えに来るまでアオヤマくんとおしゃべりしたりチェスを指したりと彼の世話係のような女性です。ある日、アオヤマくんは裏山の森の奥に「海」と呼ばれる水の球を見つける。彼は好奇心から「海」の観察を始め、ひょんなことからそれが人類に害をなす異世界への「穴」であることに気づく。そして同時にお姉さんがその「穴」を塞ぐための使者であることにも気づいてしまう、というお話です。私がこの作品で響いたのは、終盤でアオヤマくんがペンギンを見るたびにお姉さんを思い出し落ち込み、それでもお姉さんに会うため勉強に打ち込んで行く姿でした。君も知っての通り、ここのところ私は就職のために必死になっています。だからこそ、「特定の他者のためにエネルギーを注ぐ」彼の姿から自分の視野の狭さに気づかされました。明日は遅ればせながらの母の日のプレゼントでも買おうかなと思います。

グラン・トリノは言わずもがな。君が認めるだけの深さがある作品でした。主人公のおじいちゃんは一見して無愛想、冷酷、差別主義者のように見えますけど、隣人家族との関わりから、分別ある若者は諭し、他者からの好意は邪険にせず、友人を大切にする成熟した男性でした。私の祖父は19年前になくなってしまったので、彼の記憶はもうあまり無いのですが、彼も戦時下を生きた人なので存命であれば主人公と同じような性格だったかもしれないと思います。私の祖父にしても、この映画の主人公にしても、私のメンターとして今すぐにでも目の前に現れてほしい、というのがこの映画の感想です。「今は流行らない」とか「時代に合ってない」とか言われる主人公の二世代前の生き方は、私にとっては今に通じるかっこよさだろうと思うし、本来ならば今の世代に受け継がれて行くべきだったものを象徴しているように思います。日本風に言えばしきたりとか、村ごとの慣習とか、自治会の運営とかそう言ったところかな。この映画に触発されたので、この頃サボっていた筋トレを再開しようと思います。

君から進められた、運び屋、アメリカンスナイパーもそのうち見てみようと思います。今日のところはここまで。こんなご時世でも満員電車に揺られている君の身をいつも案じています。どうかご自愛ください。たまには運動もしてくださいね。